グリーン水素:イタリアがエネルギー転換をリード
メイド・イン・イタリーのノウハウとイノベーションを活用して、産業・輸送業界を脱炭素化する戦略的機会

グリーン水素は、世界のエネルギー転換を支える柱の一つとして台頭しつつあります。再生可能エネルギーを動力源として電解生成されるグリーン水素は、汎用性が高く、貯蔵および輸送が可能なエネルギー担体であり、鉄鋼、化学、重量物輸送など、排出削減が困難な産業セクターを脱炭素化することができます。イタリアにとって、この資源は排出量を削減する機会であるだけでなく、産業・技術発展の推進力ともなり、同国をクリーンエネルギー技術の生産、流通、イノベーションにおける欧州の拠点として位置づけるものです。
戦略的輸入:2050年に向けた決定的な役割
MASE(イタリア環境・エネルギー安全保障省)が発表した国家水素戦略によると、2050年までに次のふたつの主要シナリオが想定されています。ひとつは国内生産を中心とし、需要の70%を国内で賄い、30%を輸入に依存するというシナリオであり、もうひとつは輸入を中心とし、需要のわずか20%を国内で供給し、80%を海外に依存するというシナリオです。
これらのシナリオは、インフラおよびテクノロジーへの多大な投資を意味します。輸入主導型のシナリオでは、国内生産と電解装置の導入に20~50億ユーロを要するとされる一方で、グリーン電解を支えるための再生可能エネルギー設備に必要な投資は100~200億ユーロに達する可能性があります。国内生産が主流となるシナリオでは、電解装置への投資は80~160億ユーロ、45~90GWの再生可能エネルギー源を賄うための再エネ設備への投資は350~700億ユーロに増加する見込みです。
これらの数値は、国内生産と輸入を組み合わせた柔軟かつ強靭なエネルギーインフラを構築し、北アフリカや欧州市場との戦略的な連携を備えた地中海の水素ハブとしての地位を確立しようとする、イタリアの野心を示しています。
投資および支援計画
イタリアは、すでに実施済みのものと現在進行中のものを含む、包括的な施策ポートフォリオを通じて、水素バリューチェーンの開発を支援しています。中でも、NRRP(PNRR:再興・回復のための国家計画)は重要な役割を果たしており、生産から貯蔵、最終利用までバリューチェーン全体を網羅する統合型の地域エコシステムを形成し脱炭素化を後押しする水素バレーの構築、鉄道・道路輸送への水素導入の推進、電解装置の製造支援および削減が困難な産業分野における研究開発の支援などの取り組みが含まれています。
目的は、国内外双方で急増する需要に対応できる市場を構築すると同時に、イタリア企業の競争力を支え、メイド・イン・イタリーの価値を守ることにあります。

研究とイノベーション
2024年国家水素戦略は、研究とイノベーションをイタリアの水素バリューチェーンの開発の中心に据えています。イタリアは、効率の向上、コスト削減、システムの信頼性・耐久性・安全性の向上を実現できる先端技術の推進を目指しています。これは単なる個々のデバイス開発ではなく、グリーン水素の生産が再生可能エネルギー源と連携しながらエネルギー集約型の産業分野で実用化される、完全に統合されたエネルギーエコシステムの構築を意味しています。また、グリーン水素に基づく分散型モデルを通じて、循環型経済への移行と、国家エネルギーシステムの強靭性の強化にも焦点が当てられています。同時に、この戦略は研究機関と産業界の連携を促進し、高効率で持続可能な電解装置および燃料電池の開発を推進するとともに、欧州および世界におけるイタリアの技術的リーダーシップの基盤を築くものです。
これによりイタリアは、エネルギー生産能力を強化するだけでなく、世界のクリーンエネルギー市場で優位性を確立するために不可欠な科学的・産業的・規制的専門知識を獲得することにもなります。
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グリーン水素は、持続可能なエネルギーソリューションを模索する外国企業にとって、最も有望な開拓分野のひとつです。OpportunItalyでは、専用のツール、分析、ビジネスマッチングサービスを通じて、これらの機会を探ることができます。ぜひプログラムに参加して、貴社のイノベーションを国境を越えて広げるためのインサイトとパートナーシップへの扉を開きましょう。
出典:
MASE(イタリア環境・エネルギー安全保障省)– 2024年国家水素戦略
PV Magazine – 「MASE(イタリア環境・エネルギー安全保障省)が国家水素戦略を発表:2050年までに需要の30~80%を輸入で賄う」